インタビュー
河内 通子
すきな人のすぐ隣で
河内 通子(みんなのおかあさん)
- 編集・インタビュー:笹田理恵
- 写真:加藤美岬
河内 通子(みんなのおかあさん)
静岡県藤枝市生まれ、結婚後に岐阜県土岐市へ移住。夫は陶芸家・河内啓さん。2児の母で、保育士。コロナ禍で多治見市に引っ越し。Instagramでは啓さんの器を使った手料理を投稿している。中日ドラゴンズ・根尾くんの大ファン。
Prologue
「インタビューしてほしい!」と手をあげてくれたことが、今回のお話を伺うきっかけでした。みちこさんは、ハツラツとした無邪気さと「河内家の子どもになりたい……」と思わせるような心地よい包容力にあふれる人です。陶芸家・河内啓さんと暮らしながら、“啓さんのファン”として器を使って料理を作り、家族とあたたかい生活を育んでいます。「陶芸家の妻」というフィルターは一旦忘れて、「最愛の人と生きる人生」をすこし覗かせてもらいました。
「ちょっとした勘違い」の出会いから25年
ご自宅の食器は、ほぼ啓さんの作品を使っているんですか?
そう、啓さんの器が使いやすくて。だって「啓ファン」だからね。笑 私が啓さんの器を使ってSNSにあげるから「みちこさんが啓さんをプロデュースしてるんですよね」とか「奥さんの意見が作品に反映されているんでしょ?」って言われるけど全くない。「個展のお花はみちこさんが生けたの?」とかも聞かれるけど、それもやってない。笑
啓さんをプロデュースしているのではなく、あくまで「啓さんのファン」。
そうそう、大好きな啓さんの器を使いたいだけ。笑
ちなみに、啓さんの器のどこが一番好きですか?
えー……、啓さんみたいじゃない? 飾らなくて格好つけすぎてない。周りのみんなの作品もすごくいいなと思うんだよ。全部かっこいいと思う。でも、自分が料理を盛り付けて毎日家族で食べるのは啓さんの器がいい。
お二人とも出身は静岡なんですね。 どんな経緯で出会ったんですか?
啓さんの会社の同期と私の同級生の旦那さんが、お互い「いい人いない?」って話していたみたい。私が27歳で啓さんが29歳の時。バブル世代で当時は合コンも多かったけれど、最初から2人で会った方がいいって友だちが勧めてくれて。
初対面から2人で会ったんですね。
静岡駅で待ち合わせしていたら、啓さんが「ダットラ」っていう四駆の古いトラックでぶわっと現れて。降りてきたらゴム草履だったの。啓さんが通うジャズバーのマスターと三保の松原でヨットに乗った帰りだったみたい。Tシャツもダボダボのヨレヨレだし「うわ、ないな~」と思った。笑 そこからご飯を食べに行ったけど全然話も合わない。啓さんは映画や洋楽が好きで、私はそういうものに興味がなくて。でも、私がたまたま『アルジャーノンに花束を』の本を同僚から借りて読んでいたの。いつもは本なんか読まないのにアルジャーノンの話だけが合った。あとは「河内啓」という名前がすごく素敵だなと思ったの。……とはいっても、お互いそんなに「いいな」と思ってなかった。だけど、間に入ってくれた友人が「すごく気に入っていた」とそれぞれに話してしまって。
お互いちょっとズレて伝わったんですね。笑
そう、お互い「そんなに相手が気に入ってくれたなら、まぁいいか」って感じで再び会うようになった。素晴らしいキーパーソンだよね。「あの人の勘違いはなんだったんだろうね」って、いまでも不思議。それからもう25年以上でしょ。すごいね。出会いってそういうことだよ、勘違いとか間違い。お互いのタイミングが合ったんだね。
その頃はどんな仕事をしていたんですか?
私は幼稚園の先生で啓さんは会計の会社で働いていた。出会った時、すでに啓さんは会社を離れることを決めていたけど付き合ってから「仕事やめるんだよね」と聞いて。陶芸をやると決めていたみたい。
結婚を視野に入れている相手から「陶芸家になる」と宣言されたのはびっくりしませんでしたか?
へえ~って感じだった。私は陶芸のことを何にも知らなくて、学校に入れば陶芸家になれるし、すぐに食べていけると思っていた。うちの両親は心配したけれど、なんとかなるっしょとこっちに引っ越してからもう20年。
結婚してから岐阜に引っ越しされたんですか?
啓さんは、瀬戸の訓練校(名古屋高等技術専門校窯業校)に通うために一人暮らししたの。本当は「自分がやり始めたところからずっと見ている人がいてほしい。最初から知っていてほしいから瀬戸について来てほしい」と言われたんだけど、私が仕事を辞めるタイミングを逃して。一年後に退職して結婚しました。
その頃は、いずれ静岡に帰るつもりで?
静岡に帰る気満々だった。最初は騙された~と思ったけど、だんだん自分も多治見や土岐が好きだなと思えてきて。瀬戸からの国道248号、多治見駅に向かう陶都大橋を渡るときに啓さんと「ここ、いいね」って話したの。その時の印象をすごく覚えてる。
ここの地域が合ったんですね。
20年以上住んで子育てもしていたら根っこはこちらになる。子どもたちはもちろん地元なわけだし。静岡を離れるまでの30年より結婚してからの20年の方が自分で生活しているし。静岡は好きだけど帰ってくるのは多治見。
答えがひとつじゃないことも、全て認めてあげる保育者でありたい
啓さんは瀬戸の訓練校に通って、すぐ陶芸作家として収入を得られるようになったんですか?
……ならなくてね。仲間で出店しても啓さんの作品だけ売れないこともあって。啓さんは流行りのものを真似して作らない。訓練校の仲間は売れるテイストのものを器用に作っていて、私も「流行りに寄せれば売れるのに……」と当時は思っていたんだよね。出店を手伝っていても友だちの器ばかり包んで、啓さんのは全然売れなかった。
その状況はもどかしいですね。
啓さんが言ったのかな。「流行りに乗っかるとずっと流行りを追い続けなきゃいけなくなって自分のスタイルではなくなる。だから、自分のものをずっと作り続けなきゃダメなんだ」って。今はそうだなと思える。流行っているものを作るんじゃなくて「啓さんのもの」を作っていなかったら意味がない。
啓さんが作家活動を始めた頃、みちこさんは専業主婦だったんですか?
そう、子どもが幼い時は専業主婦をしていて、息子が3歳になったら駄知(土岐市の窯元が多い地域)の窯屋さんで絵付けを始めた。景気が悪くなると力仕事もするようになって、それが大変になってきた頃に多治見の現代陶芸美術館に移った。そこで3年半は働いたかな。
いまの仕事でもある「保育士」のイメージが強いので、ずっと幼児教育に関わっていたのかと思っていました。
美術館の仕事は楽しかったけど、子どもが行事のある土日が休みにくくて保育士に戻った。最初は先生のブランクが長すぎて大変だったよ~。啓さんに「もう辞める!」と言ってたけど、やり始めたら子どもたちがかわいいし楽しくなった。静岡で幼稚園の先生をやっていた頃にも啓さんに「その子たちがかわいいと思う瞬間がある仕事って、世の中にそんなにないんだよ」と言われていたの。「仕事に行く前は嫌だと思うかもしれないけれど、行ったら楽しくてその日を終えることができる仕事なんて、なかなかないんだからすごくいい仕事だよ」って。
一度にたくさんの子どもを見守る保育士は本当に大変だし、責任も大きい職業だと思います。みちこさんの仕事の捉え方を変えてくれたんですね。
子どもって本当にひとりひとり違うんだよね。そして、みんな自己肯定感が高いの。「ちょっと難しいけどやれるかな?」って聞くと、みんな「やれるー!」って言うの。そういう部分をなくさないように、何でもやれる自分のまま、「ダメがない」と思ったまま大きくなってほしい。
幼い頃は持っている自己肯定感が、成長に伴って削がれていってしまうことも。
子どもって元々は自己肯定感がめちゃくちゃ高いと思う。保育園や幼稚園は子どもたちの根っこを育てる場所。小学校に入ったらどうしても答えが一つのものに取り組まなきゃいけないけれど、「それもいい、これもいい、あなたのそこがいいよ」と答えがひとつじゃないことも全部認めてあげる保育者でありたいと思う。
お二人の息子さん・娘さんを見ていると、そういう風に育ててもらったように感じます。
叱らない子育てをしたいわけじゃない。ダメなことはちゃんと言わないといけないから保育園でも叱る。でも、よかったことはいっぱい褒めてあげたい。表面だけ褒めても子どもには伝わるし嘘がつけない。だから「ほんとすごいじゃん!」って心から言ってあげるとすごくうれしい顔をするの。あと、うちはお父さんがいいから。
啓さんも子どもと向き合ういい父親ですか?
そうだね。お父さんとしても旦那さんとしても、啓さんに嫌なところが一つもなくて。些細なことや瞬間的に腹を立てることはあるけれど振り返ってみると全然ない。
すごい……! 最初はタイプじゃなかったと話していましたけれど、どこからそんなに好きになっていったんですか?
分かんない。……啓さんといると常に面白いことがあるからかな! たとえば、ローリング・ストーンズのドーム公演に行くことになって、曲を聞いたり、一緒にスタジアムツアーのビデオを見ていたらすっごい面白くて。陶芸もそうだけど、最初は私が「興味ない」と思っていたことも啓さんといると面白くなる。
自分の世界を広げてくれる人なんですね。
そうかもしれない。元々、私はもっとギャーギャーしたタイプだったから、高校の時に大人しい性格の啓さんと出会っていたら何もなかったと思う。20代後半で出会えたから、ちょうどよかったのかな。
最初の印象や出会い方が全てじゃない。
ゴム草履にヨレヨレのTシャツだもんね。笑 でも「河内啓」という名前が惹かれたのは、なんだろうね。だって「啓」って名前の人は他にもいるし変わった名字でもないけど、なぜかピンときた。そういう不思議な出会いってあるんだよね。やっぱり出会う時には出会うんじゃないかな。
啓さんにみちこさんのどんな所が好きなのかを聞いたりもしますか?
聞いたことない。啓さんは私の何がいいのか分かんない。永遠の片思いかもしれない……! 結婚しているのに片思い感がある。笑
笑 みちこさんは、啓さんはもちろん、家族まるごと大好きですもんね。
啓さんも好きだし、子どもたちも大好き。何にもしていないけれど良い子に育った。子どもたちも私に持ってないものを持っているからすごく面白い。
家族でよく行っていた場所はありますか?
啓さんが本好きだから多治見の図書館に2週に一回は行っていた。子どもたちの本好きはそれが基盤かな。息子がね、家で落語を見ていたときに停電でオチまで見られなかったことがあったの。そのあと図書館に落語のCDがたくさんあるのを知って、借り始めたのがきっかけで息子は落語好きになった。お笑いを見るように落語を聞いてゲラゲラ笑ってるよ。いろんな話の中に落語で得た知識が挟まれているのも面白いよね。
停電がなかったら、そこまでハマらなかったかも! 普段から子どもたちの相談にも乗ったりしますか?
親ができることって子どもが話してきたら聞いてあげることと、おいしいご飯を作ってあげることしかないよね。進路のことも、大学卒業後は就職してもいいし、アルバイトとか自分の好きなことを見つけるまでの間は何をしてもいいって伝えている。啓さんからは「誰かのために人の役に立つことが仕事だから、自分の好きなことを探すんじゃなくて人のために自分ができることをやるんだよ」って。子どもたちにも「分からないことがあったらお父さんに聞いて」って話してる。
ほんとだ、うっかり幸せになっちゃった
河内家はとにかく仲がいい。いつもインスタの料理投稿がおいしそうで……眺めているとお腹が減ります!
料理は、ハマるとすごくハマるんだよね。陶芸って過程が多いでしょ。焼成まで進んだのに最後に亀裂が入るとか……そういうのが全然向いてない。料理はすぐに答えが出るし、大雑把で短気でも、それなりにでき上がる。あと編み物も好き。私の母もすごく好きだったの。娘のミトンも作ったよ~。持ってきちゃおうかな!(ミトンを探しに行く)
わー、かわいい!
かわいいでしょ~!これは娘が高校生の頃に編んだかな。大学生になるとスマホを電車で見るから指を出せる仕様になってるの。編み物は時間かかるけど、ほどいてやり直せるし、でき上がっていく過程がハッキリ見えるでしょ。そういうことは向いてる。子育て中は私も布バッグを作ったりしてたの。でも、それで食べていこうと思ったらクオリティも必要だし、そんなの私にはできないなと気付いた。私はやっぱり家族のためにやるのが向いている。作ることは私の仕事じゃない。家族のためにやるのが好き。
みちこさんも作る仕事を始めようとしたことがあるんですね。
あるある。家でやれるし、作る仕事もいいなと思ったけど啓さんを見ていたら厳しさが分かる。すごく一生懸命やっていてもうまくいくかどうか分からない世界なのに、片手間でやったものがまかり通る世界じゃない。ものを作るという世界が分かってきたら、私は外でお金を稼ぐ人だなと思った。
何かを作ることに対しても「家族のために」と思えるのは、やっぱり家族との時間が幸せなものだから。
そうだね。でも課題に思っていることもあるよ。子どもたちはいずれ家から出ていくし、私と啓さん二人きりになって、そのうち一人になるかもしれない。そういうことも考える年齢になってきたから、やっぱり家族だけじゃない自分の世界をもっと作る。というか……私自身が家族から自立しなきゃいけないと思う。
家族とはいえ、依存しているのはよくない。
ずっと家族が喜ぶことをしたいと思ってきたけど、だんだんそれが余分なことになる。子どもが幼い時は必要だったことも、いまは自分たちでできるし手を引かなきゃいけない。啓さんとだって子育ての話題がなくなると、仕事については何も口出ししないし。だから私にも何か別のものがないといけないなって。そんな中で偶然、中日ドラゴンズにハマった。根尾くん大好き!
いまや、夫婦そろってドラゴンズの大ファンですもんね!
今は啓さんとLINEで野球のことばかり話してる。陶芸でも子どもでもない部分に、ドラゴンズがちょうどはまった感じがする。啓さんが居なくてもバンテリンドームに試合を見に行ってみたいなー。
いつも夫婦一緒のイメージがあったので、そう考えているのはちょっと意外でした。自分なりの楽しみも見つけていきたいですよね。
そう、一緒にはいたいし一緒にいるのが一番楽しいけど、それだけではダメ。やっぱりお互いが自立してないと面白くない。だからYouTuberを始めようかと思ったけど動画は大変だから諦めちゃった。昔からクックパッドでレシピをあげていたり、ブログからインスタに移ったりしてるんだけど自分のことを発信するのが好きなんだよね。「おいしそうだね」って言ってもらえるとうれしい。褒められたい!笑
インスタもフォロワーがすごく多いですよね!
一般の主婦としてはがんばってるよね!
「みんなのおかあさん」という個人名刺も作ったり。2022年に開催した「dig はじめまして展」でも配布させてもらいました。
そう、さとこさん(digのデザインも担当する多治見在住のデザイナー)に自分のイラストを描いてほしくて作ってもらった。名刺は持ちたかったからうれしい! さとこさん、面白いんだよ。「新町ビルに置く感じで作りました。笑」って。そーっと入口に置いてこようかな。笑
※新町ビル……築50年古ビルをリノベーションしたやきものや洋服のセレクトショップが入る複合施設
話をしながら多治見でみちこさんと啓さんに出会えてうれしいなぁ……としみじみ感じています。みちこさんが思う「まちの心地よさ」って何ですか?
多治見は、ちょっと独特な土地じゃない? いろんな地域の出身者がいるけど、みんな馴染んでる。玉木酒店や新町ビルとか人をつなげる場所があって、みんなそれぞれの感覚で好きなことをやっているからすごく楽しい。意匠研(多治見市陶磁器意匠研究所)を卒業したばかりの若い作家さんに対しても、作品が良ければ「すごい」と言い合える。そんなフラットな関係性があるから居心地が良いよね。
多治見で実現してみたいことはありますか?
「いつか銀座通りやながせ商店街でみんなと暮らしたい」って、ゴンちゃん(陶芸家・崇心さん)や奈菜江ちゃん(陶芸家・藤居奈菜江さん)と話してるよ。笑 銀座商店街のアーケードの下で囲碁を打ちたいんだって。私は玉木酒店とご近所っていうのも狙ってる!
夫婦での目標はありますか? これからやりたいこととか。
全然ないけど啓さんには陶芸をやっていてほしい。お金を稼がなくちゃとかそういうことじゃなくて、啓さん自身が「やりたい、面白い」と思う仕事をずっとやってほしい。やっぱり自分の仕事をやっている啓さんが好きだから。それを見ていたいかな。それが一番幸せ。
大切なパートナーだからこそ、やりたいことをやっていてほしいですよね。
啓さんが生き生きと楽しく好きな仕事をしていると家の雰囲気もいいよ。小さい夢なら温泉に行きたいな。クラフトフェアに行って温泉に寄るとか。個展先で二人でのんびりしたい。
みちこさんも一緒にクラフトフェアや出店先に行くことが多いですよね。
クラフトフェアについていくの大好き。だって、お店屋さんみたいでしょ。それも「いつも奥さんがやってくれていいわね~」って見ている人もいるけど、そうじゃなくって私がやりたいの!
わりと、みなさん勘違いしてますね、みちこさんのこと。笑
そう、私が啓さんをせっせと支えていると勘違いしてる! そうじゃなくて、私にとって「出店」は遊びではないけど仕事でもない。「どうにか売らなきゃ」みたいなプレッシャーはないし、啓さんの作品が売れていくのを見るのはすごく楽しい。
そんなふうに楽しめるのいいですね!
売れない時代を知ってるから。あの頃はずっと他人の作品を包んでいたのに、いまは啓さんだけの店を出して、啓さんの器を買ってくれて。それを自分が売ることができるなんて幸せだよ。
みちこさんの日々には幸せな場面が多いですね。啓さんが好きな仕事をしているのも、作品が売れていく現場に立ち会えることも、啓さんの器を使って家族で食卓を囲むことも。
すごい幸せ。ほんとだ、うっかり幸せになっちゃった。笑
人生のターニングポイントはいつですか。
最後に質問カードを引いてもらえますか。いろんな人が書いてくれた「誰かに聞いてみたいこと」がランダムに並べてあります。
Q1:人生のターニングポイントはいつですか?
それは啓さんに会った時。27歳、静岡駅前、北口。笑
Q2:日々の生活での決まり事は?
トイレ掃除と玄関掃き。朝起きてトイレに行く時に掃除をする。子どもの受験のときに「私にできることは神頼みしかない!」と思って毎朝トイレ掃除と玄関の掃き掃除を始めたの。受験が終わるまで、と思っていたのに合格してからもやめられなくなった。
Q3:幸せとは? ひとつ定義するなら?
普通の毎日を送れること。普通っていうのは家族が元気で、いつもやることをやれていて楽しく暮らしている。楽しくない日があってもいいけど、いつもの学校に行って、いつもの仕事に行って帰ってきて、みんなとこの食卓でご飯を食べる。それを毎日やれることが幸せなんだと思う。お金がいっぱいとか社会的地位が上がるとか、そういうことにはあまり興味がないから。毎日、普通のことができれば幸せ。
では、みちこさんからの質問をお願いします。
「すきな人は誰ですか?」 できれば具体的な人を聞きたい。身近な人でも有名人でも、過去でも今でもいい。絶対その好きな人が自分をつくってくれているから。
みちこさんのすきな人は啓さんですもんね。
やっぱり誰よりも気がおけない人だし、一緒に何をしても楽しい。でも……好きって言いすぎて、このインタビューが記事になったら、啓さんはほんとにやめてくれって言うかもしれないね。笑
「すきな人」と聞かれても具体的に浮かばない人は多いかもしれない。
たとえば中学生に聞いたら恋愛としての「すきな人」になりがちだけど、歳を重ねてからの好きな人は恋愛だけじゃない。子どもはすごく単純に「すき」って言えるのに大人って考えちゃう。単純に言えたらいいよね。
- 編集・インタビュー:笹田理恵
- 写真:加藤美岬
Credit